家の固定電話が鳴ったのは、7月8日のこと。
Webマガジンの取材の申し込みでした。
「学習塾の経営者の方にインタビューをさせていただきたく、ホームページを見せていただいてお電話しております。」
取材ですか?うちを?小さな学習塾ですけど・・・?
「畑山隆則氏をご存じですか?元ボクシング世界チャンピオンの畑山氏です。畑山氏との対談企画があるのですが、受けていただけないでしょうか?」
これは新手の詐欺か何か?
最初はそう思ったのですが、言われるがままに会社のホームページをチェックすると、経営者インタビュー、インタビュアーの畑山隆則氏の名が・・・
電話主の熱意と、塾に来ていただけるという点から、
それなら・・・
ということで取材のオファーを受けたのでした。
その後、依頼を受けたことを主人に話すと、
「うそォー!!そんなことってある?マジで!?何で!?畑山さんなんてボクシング界のカリスマよ!!何でそんな人がうちなんかに?」
(うちなんかで悪かったですね~)
格闘技好きの人なら普通こうなります。
その日、主人が帰ってきてからというものの、畑山さんがいかに偉大なボクサーだったか、現役のボクサーからどれだけ尊敬されているか、試合のYouTubeの再生回数の信じられない数とか、
どれだけ願っても会うことなんて一生叶わない人だということを懇々と聞かされたのです。
後日の話ですが、ボクシング界のことはピンとこないテニスonlyの息子が、「じゃあ、僕が錦織に会うみたいなものか・・・うわぁ!」
「いやいや、もっとすごい!彼は世界制覇はしてない。」
周りのとにかくテンション上がりまくりのこの反応を見て、
「これは大変なオファーを受けてしまった!どうしよう!」
と生まれて初めて超ド級の緊張を体験することになったのです。
7月10日、対談は嘘ではありませんでした。
何とその日、主人は畑山さんに会うために会社を休んだのです。
(ほんとに笑えます。)
畑山さんは格闘技をしてらしたなんて思えない、温厚そうで柔らかいお顔立ちで、とてもダンディーで親しみやすく笑顔の素敵な方でした。
自分が話した内容なんてはっきり覚えていません。
でも、彼の発する言葉ひとつひとつが重く、現役時代に血を吐くような練習や、つらい減量を繰り返し、2階級制覇というだれにも為し得ない栄誉を勝ち取ったその人が言うからこそ、説得力があるのだろうと思いました。
私の心に残った畑山さんの生の言葉に、
「自分よりうまい、才能のあるボクサーはたくさんいる。でも、人はどれだけ努力ができるかということです。
努力ができるということも一つの才能だと思うんです。」
前川 「本当にその通りです。M’Sの信条も努力です。
子どもたちに、特に中学3年生の子たちによく、人生についての話をします。
とにかく努力をしなさいと。人間の一生で中3と高3が一番勉強しなきゃいけない時期。
その機会をみんなは神様から与えてもらってる。一度死ぬ気で勉強してごらん。って。」
畑山 「たったの一年で、自分の将来が変わるのにね。」
前川 「そうなんです。その時はみんな真摯に聞いてくれて、よし!!って思ってくれるみたいなんですけど、モチベーションを持続するのって難しいですよね。」
畑山「人から説得されてやるんじゃなくて、自分から納得してやらなきゃダメなんじゃないかな?」
最後の質問に、
「未来を担う子どもたちが、悩んだりつまづいたりしながら成長していく過程に、自分が少しでも関われることが大きな喜びでもあります。」
そのように答えて、対談は終わりました。
真に努力した人の言葉は人の心に届き、真の偉人は人の言うことを絶対に否定しません。そう感じました。
8月の下旬に記事になり、配信される予定です。
是非、ご覧ください。